日本語の五十音をどのように国際音声記号で表記していくのかを説明します。
今回は母音(アイウエオ)を取り扱います。
【目次】
- それぞれの母音の表記について
- 母音の仕組みについて
- それぞれの母音の発音について
それぞれの母音の表記について
ア行の音声記号による表記は次のようになっています。
ア [a]
イ [i]
ウ [ɯ]
エ [e]
オ [o]
ローマ字と非常に似ていますが、「ウ」は要注意です。
ローマ字では「u」と書きますが、mをひっくり返したような形、「ɯ」になります。
母音の仕組みについて
母音は、唇と、口の中で舌がどのように動くかによって違いの生まれる音です。
この図は左側を向いている口の中を簡単に表したものだと思ってください。
イメージとして、左側に唇や歯があり、右側に喉が来ます。
母音において注目すべきポイントは3つあります。
〇舌の場所
まずは舌をどこに持ってくるのかが大切です。
唇に近い方を「前舌」、中央を「中舌」、喉に近い方を「後舌」
と呼びます。
〇舌の上下、口腔内の広さ
口の中のスペースの広さが音に関係してきます。
日本語の母音には、
舌を高く持ってきて狭い空間で発音する「高母音」、真ん中に持ってくる「中母音」、低く下げて空間を広くする「低母音」
があります。
〇唇の動き
口の中だけではなくて唇も大切なポイントです。
唇を丸めて発音するときは「円唇」、丸めないときは「非円唇」と呼びます。
これら三つの要素によって、母音が変化します。
実践練習
まず、「イ・エ・ア・オ・ウ」とゆっくり声に出して言ってみてください。
その時、舌と唇の動きがどのようになっているのかを意識してみましょう。
「イ・エ・ア・オ・ウ」
個人差はありますが、大体上の図のように舌が動いていることが確認できましたか?
それぞれの母音の発音について
では、「アイウエオ」それぞれの音はどのように作られるのか、
3つのポイントにならって一つずつ見ていきましょう。
ア [a]
〇舌の場所
「ア」に関して、多くの人が中舌より若干後ろで発音していますがどこで発音しても同じような音になるのであまり気にしません。……意外と、日本語の母音はざっくりした分類をします。
〇舌の上下
「ア」は低い位置で発音するので低母音です。
〇唇の動き
発音するときに唇を丸めないので非円唇になります。
イ [i]
〇舌の場所
「イ」と発音するとき舌は前に寄ります、よって前舌母音です。
〇舌の上下
「イ」は高い位置で発音するので高母音です。
〇唇の動き
発音するときに唇を丸めないので非円唇になります。
ウ [ɯ]
〇舌の場所
「ウ」は少し後ろで発音するので後舌母音になります。
〇舌の上下
「ウ」は高い位置で発音するので高母音です。
〇唇の動き
「ウ」の音は唇を丸めるイメージがあるかもしれません。
でも試しに「うるさいよー!」と声に出して言ってみてください。唇を丸めて発音すると、なんだか不自然と言うか、しつこい感じがしませんか?
日本語の「ウ」はあまり唇を丸めないことが分かります。
つまり、日本語の「ウ」は非円唇母音です。
【補足】
唇を丸める円唇母音の「ウ」は音声記号では[u]と表記します。
日本語の「ウ」は非円唇母音だから[ɯ]と表記するのです。
エ [e]
〇舌の場所
「エ」を発音するとき舌は前の方にあるので前舌母音です。
〇舌の上下
「エ」は真ん中のあたりに来るので中母音です。
〇唇の動き
発音するときに唇を丸めないので非円唇になります。
オ [o]
〇舌の場所
「オ」を発音するとき舌は後ろの方にあるので後舌母音です。
〇舌の上下
「オ」は真ん中のあたりに来るので中母音です。
〇唇の動き
発音するときに唇を丸めるので円唇母音です。日本語の母音では「オ」だけが円唇母音だと押さえておきましょう。
これだけ押さえるべし!最重要キーポイント
困ったら「イ・エ・ア・オ・ウ」でチェック!
日本語の母音を作るのは、舌の①前後②上下、③唇を丸めるかの3要素。
「ウ」の音声記号だけは特殊!非円唇の[ɯ]。
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